AKB48から誕生した妹系ユニットとして09年1月にCDデビューした、渡り廊下走り隊が2月9日(日)、Zepp DiveCity Tokyoで解散コンサートを行なった。前日の大雪にもかかわらず会場は2千人の超満員。彼女たちのラストステージを最高のものにしようと、開演前から会場のボルテージが高い。

1曲目、デビューシングルである『初恋ダッシュ』からスタート。登場したのは立ち上げメンバーである渡辺麻友、多田愛佳、仲川遥香、平嶋夏海。渡辺や多田はデビュー当時の髪形であるツインテール! それを見てこの5年間が一気にフラッシュバックし、軽く涙。4曲目には『アッカンベー橋』。菊地あやかの加入と初めてオリコンウィークリー1位を獲得した渡り廊下走り隊にとって忘れられない1曲。おなじみの振り付け講座をして、ファンも一緒になって踊る。そして『猫だまし』、『若気のイタリアン』とテンポのいい曲で進み、いったんMC。

ここで今や演歌歌手としてオリコン1位を獲得するなど、大活躍の岩佐美咲が登場。さらにもう一人メンバーが呼び込まれる。その時、会場のほとんどはそれが浦野一美と思っていただろう。だがそこに現れたのは昨年、芸能界を引退した小森美果! この日限りのサプライズ復帰に驚き、ふるえが止まらない。髪をショートにしてすっかりきれいなお姉さんになっていた小森。自己紹介で感激のあまり泣きだすも、しゃべりだすといつもの不思議な“こもりんワールド”。大いに笑わせてくれた。

そして中盤、ようやく浦野一美がステージへ。発表時にタイトル名が大きな話題となった『姉妹どんぶり』を渡辺麻友とともに初披露。「私、28歳ですよ!」と自虐ネタを入れつつ、AKB48の1期生でもあるベテランの味を見せる。さらに『へそが曲がる』、『青い未来』と初披露曲の連発。最後のライブで悔いが残らないように、出し惜しみのないセットリストだ。アンコールは『走り隊GO!GO!GO!』、『青春のフラッグ』。ラストに向かって、最高の盛り上がりを見せる。
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最後にメンバーからの挨拶。小森は「出ると言ってなかったのに、こもりんタオルを持ってる人がいて」と驚き。浦野が「AKBからSDNに移って、渡り廊下で3回目の卒業」と話すと、悲しいながらも会場から思わず笑い声。ラストアルバムで渡り廊下走り隊に復帰した平嶋は「アルバムにも解散コンサートにも参加させて頂いてうれしい」と涙。岩佐は「今日で終わりだけど、曲はずっと残ります」と、1曲1曲を長く大事に歌い続ける演歌歌手ならではの言葉。菊地は「渡り廊下の絆はなくならない!」と力強く宣言。多田は「私にとって渡り廊下走り隊は友達以上であったし、家族以上でもあって、大切な場所でした」と涙ながらに振り返る。今はJKT48でセンターをつとめる仲川、「日本のファンのみなさんと会う機会が減ってしまうけど、みなさんに見に来てもらえるようジャカルタで頑張りたい!」と、前に進む決意を見せてくれた。

そして最後に渡辺。「うーー、うーー」とサイレンのような声で泣きながら震えている。「グループの解散を初めて経験して、こんなにも、せつなくて、悲しくて、寂しいんだなと実感しています」と、感情いっぱいに話し始める。そして「たくさんの縁があって、深い絆のあった渡り廊下が本当に大好きだし、私がいちばん私らしくいれる場所」と活動を振り返り、最後には「このメンバーとみなさんと走り続けた日々が私の青春でした。今まで本当にありがとうございました!」と絶叫。

まゆゆといえば、AKB48の中ではマジメで優等生で完璧なアイドル。そのまゆゆが、ファンの前で感情をあらわにし、叫び、泣いた。見ているこちらが思わずうろたえるほど……。まゆゆにとって渡り廊下走り隊は本当に本当に大切にしているグループだった。

今回のコンサートで渡り廊下走り隊は解散した。だが個々のメンバーの活動はどんどん広がっている。この先、5年後10年後に、再び彼女たちが集まってくれたら、どんな成長した姿を見せてくれるのだろう? その日を楽しみに待ちたい。
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(取材/文・関根弘康)

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