私はこの本を読んで、主人公の陽介を尊敬しました。私がAKB48としてデビューしたのは、陽介と同じ中学校二年生の時でした。その時の私と陽介を比べてみると、陽介は中学二年生とは思えないほどしっかりしていて、とても私には真似ができません。
 ある日突然、横領の容疑で父親が逮捕されてしまい、家族がバラバラになってどん底に落ち行ってしまっても陽介は挫けず、前向きに頑張って生きようとしていた。その姿に、私はとても勇気づけられ、感動しました。陽介は頭が良く名門校に通っていたがやめさせられてしまい、おばさんの営む養護施設で暮らすことになるが、大学に進学する夢を諦めずに毎日欠かさず勉強を続けている陽介を見て、もし私がこんな状況になってしまったらとても冷静は保てないし、ましてや勉強どころではないと思います。誰にも会いたくなくなってしまうと思うし、とても前向きに暮らしていくことはできないと思います。
 それでも陽介が前向きになれたのは、おばさんのおかげだと思います。おばさんの、物事を何でも気持ちいいぐらいにはっきり言ってしまうさばさばした性格や、周りの人達のことをちゃんと考えてくれている優しさに触れられて、陽介は自分を見失わずにいられたのだと思います。一見、大人びていてドライに見える陽介ですが、母親からの四通目のお手紙で両親が離婚しないことが分かった時に大泣きしてしまった姿を見て、中学生らしい一面があることを知って嬉しくなりました。
 母親は離婚をやめて、父親のことを許した。陽介も、父親を責めなかった。二人の心の広さに、とても感動しました。もし私だったら許せるかどうか分からないけれど、これからは何事に対しても広い心を持って生きて行きたいと思いました。

おれのおばさん (集英社文庫)

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